「ひふみん」の大記録
2017年 07月 06日
今年、彗星のごとく藤井蒼汰四段がプロデビューしたのですが、その初戦の相手が「ひふみん」の愛称で知られる加藤一二三 九段だったのです。
この対局は、公式戦で最も離れた年齢差(62歳6か月)の対局でした。
ひふみんは、その対局中に突然カバンからチーズを取り出し、何事も無かったようにペロッと食べちゃったのです。
かと思えば、昼の休憩時間が残り3分となった時に、突然「バシッ」と将棋の駒を打つ音が・・・
ひふみん、なんと休憩中にも関わらず指しちゃったのです。
結果は、110手で藤井蒼汰四段の勝ち
藤井蒼汰四段はその後29連勝という新記録を打ち立てるのですが、連勝中の対戦でもっとも印象に残った対戦は。、「加藤一二三 九段の豪快な棋風が印象に残っている」との事です。
ゆるキャラのような風貌で「ひふみん」と呼ばれている加藤一二三 九段ですが、実は本当に凄い棋士だったのです。
まず、プロデビューが14歳7ヶ月で、これは藤井蒼汰四段がデビューするまで62年間も破られなかった最年少記録だったのです。
18歳で史上最速でA級八段となり、「神武以来の天才」と呼ばれました。
この最速記録は、60年近く経った今も破られていません。
加藤一二三 九段は、今年1月にC級2組からの陥落し自動的に引退が決定しました。
ひふみんが「棋士人生でもっとも嬉しかったことは?」と聞かれたら・・・
そして大一番を制しました
その直後、有名な逸話があります。
勝利が決まった瞬間席を立って、階段を駆け下りて棋士会館の3階にある将棋雑誌の編集部に・・・
「お父さん勝ったよ!」 と報告して、すぐに対局室に舞い戻りました。
加藤一二三 九段には、最高齢現役(2017年6月20日、77歳で引退)、最高齢勝利、最高齢対局、現役勤続年数、通算対局数など数々の記録があります。
加藤一二三 九段は最後の最後まで現役にこだわり、今年1月にC級2組からも陥落し事実上引退が決定したのです。
相撲に例えれば、名人位という「東の横綱」が、「十両」を陥落するまで戦い続けるというような事だったのです。
ところが、事実上の引退は決定したのですが、タイトル線に出場し、勝ち続けると現役を続ける事ができるのです。
加藤一二三九段は竜王戦に挑戦し、6月20日の6組昇級者決定戦で高野智史に敗れ、正真正銘の引退が決定しました。
2015年度には全敗し、それを含む23連敗も記録しました。
ボロボロになるまで現役を貫き通したのでした。
通算敗戦数は、1180敗(1324勝)という史上最多の記録です。
これは、プロの上位で活躍していないと絶対に達成できない数字で、未来永劫 絶対に破られないであろう凄い記録です。
ひふみんは、本当に将棋が好きで好きでたまらなかったのだと思います。
引退後は公式戦の対局はできないものの、加藤一二三九段にはすぐに対局の解説の仕事が多くあり、
将棋の神様は、加藤一二三という偉大な巨星が引退する時に、その後継者となるべく藤井蒼汰という新星を将棋の世界に送り込んだのでした。